甲子園は宇宙のような場所だ。
以前取材で甲子園のグラウンドに入ったことがある。
ホームベースのそばから、バックスクリーンを見た。
とてつもなく広く感じた。
艶やかな土の内野グラウンド、
鮮やかな緑の外野天然芝。
本来であれば地方予選を勝ち抜いてきた高校球児、
そしてプロ野球選手しか入れない場所。
自分にとっては未知の世界で、
自然に足が震えたのを覚えている。
その甲子園で、八重山商工の選手達は、
堂々と、必死に、楽しみながら
いいゲームを見せてくれた。
智弁和歌山との3回戦。
野球で身を立てられることを信じて、
過酷なチーム内競争を勝ち抜いてきた
選手達がそろったチーム。本当に強い。
5回に大嶺投手から、広井選手が放った3ラン。
高めやや外よりのストレートを左中間の深いところに
持っていった。
そのイニングまで大嶺投手が変化球でカウントを
整えられず、フルカウントでランナーも2人いたので
ストレート待ちだったとは言え、
勝負どころで長打を打てるのは、
本当に厳しい練習で培ってきた力、そして全国の強豪校と
渡り合ってきた経験からくるものだと思う。
7回の橋本選手の2点タイムリー3ベースヒットも
外より高めの変化球(スライダーかな?)を
ライトオーバーした。
風があったにせよ、
「何であそこまで飛ばせるの?」と思った。
最初は大嶺投手の速球に合わせられなかった
智弁和歌山打線。でもストレートの高低を徐々に見極め、
決まり出して来た変化球も、ボール球は手を出さず、
ストライクゾーンに入ってきた球を痛打して、
投げられる球種、コースを無くしていった。
智弁和歌山は洗練されたチーム。
でも八重山商工は未知の力、大舞台でも
+αの力が出せるチームだったと思う。
春夏連続出場とは言え、
試合中の選手達の様子も、本当に堂々としていた。
小学生のころからお互い培ってきたチームワーク、
全国大会、国際大会での経験が
自信となっているのだろう。
試合は3-8だった。スコアシートだけを見れば、
智弁和歌山の鮮やかな逆転勝利と
なるかもしれない。
でも、八重山商工のチームのオーラは
最後までプレッシャーをかけ続けていたと思う。
試合終了後の両チームの握手は、
間違いなくそれぞれを認め合い、
たたえあうものだったと感じた。
差として出たのはチームとしての
甲子園での経験だけだったと思う。
その差を埋めるには時間も、
甲子園に愛される運も必要だ。
離島であり、優秀な選手は島を離れるといった
野球環境のハンデを跳ね返して結果を出した
八重山商工の伊志嶺監督、選手たち、
チームを支えた人々。
この想いは甲子園の記憶として語り継がれていく。
そして公立・私立の違い、雪国といった
厳しい環境の中でも真剣に甲子園を目指す
チームに大きな勇気を与えたと思う。
駒大苫小牧の香田監督は、
2年前、夏の大会で白河の関を越えられなかった
大優勝旗を、白河どころか津軽海峡さえ越えさせた時、
「道産子バンザイ」とコメントして涙した。
北国の野球史に想いを馳せ、
一緒に涙した高校野球ファンは多いと思う。
今回の八重山商工はベスト16だったが、
その時と同じくらいの感動を与えてくれたし
本当にスゴイ歴史の1ページを刻んでくれた!!
自分も、自分自身の課題とぶつかった時
八重山商工を始め、全国の球児たちの
全力で戦った汗と想いがしみこんだ
大甲子園のグラウンドを思い出そうと思った。
お疲れ様でした。本当にありがとう!
(鉄太郎)